歯科検診に通う頻度は?現役歯科医師が健康な歯を守るためにできることをご紹介!

「歯科検診は3か月に1回ってよく聞くけど、虫歯はないのにそんなに通わないといけないの?」
「歯科検診以外にも、歯のためにできることをしたい!」

こんな風に思っている人も多いのではないでしょうか?
歯の状態は一人ひとり違うのに、歯科検診の頻度は全員同じだというのはおかしいですよね。

そこで今回は、歯の病気歴や年齢に応じた歯科検診の頻度、歯の健康を守るために個人でできることを解説していきます。
自分に合った方法で、元気な歯を守っていきましょう。

歯科検診に通う理想の頻度は?年齢、症状別に徹底解説!

ー実際に歯科検診に通ってる人はどのくらいいる?

日本では定期的に検診に通っている大人は31.3%です。これは他国に比べても非常に低い割合です。

予防歯科にチカラを入れているスウェーデンでは定期検診の受診率は9割に上ります。
この差は80歳の歯の残存本数に顕著に現れており、日本は13本に対し、スウェーデンは20本もあります。

ー年齢別の頻度

歯科検診に通うといっても、高齢者と子ども、病気になりやすい人となりにくい人では必要な頻度に個人差があるので、それらを解説していきます。自分にあった頻度を見つけましょう!

①子ども

年2~3回の検診がおすすめです。子どもは歯やあごがどんどん成長し、変化していきますので、何かおかしいことがあればすぐ病院へ行くといいです。子どもは歯の磨き残しが多かったり、乳歯は虫歯になりやすく進行も早いので、定期的に歯医者さんに行くようにしましょう。

②大人

3か月〜半年に1回の検診がおすすめです。仕事で忙しい方もいらっしゃると思いますので、そういう方も最低半年に1回行っていただけたらと思います。営業職の方や人とのコミュニケーションが多い方は3か月に1度受診して、より印象のよい・きれいな歯を維持することがおすすめです。

③高齢者

1~2か月に1回の検診がおすすめです。年齢とともに、歯茎がやせる・エナメル質がすり減るなど、歯の病気になりやすい口内環境になってきます。歯の病気は脳梗塞や糖尿病、心疾患など、全身の病気につながることも分かっており、高齢の方には歯の健康の維持がとても重要になります。頻繁に通うのがしんどい方は、訪問歯科などを利用しても良いと思います。

ー歯の病気歴別の頻度

①虫歯歴

  • 虫歯になったことがない人

目安は半年に1回です。歯磨きがきちんとできており、虫歯になりにくい食生活や口内環境の方だと思います。しかし、およそ3~4割の人が虫歯になると言われていますので、虫歯になったことがないといっても、今は虫歯になっている可能性も大いにあります。口内環境はストレスや薬などですぐ変化しますので、半年に1回程度は受診することをおすすめします。

  • しばらく虫歯になっていない人

目安は3~4か月に1回です。過去に虫歯になったときに詰め物をした人は、詰め物下に虫歯ができると発見しにくく、深部に進行しやすい可能性があるため、少し多めの頻度で通うことがおすすめです。新たに虫歯を作ってしまわないよう気をつけましょう。

  • 1年以内に虫歯になった人

目安は1~2か月に1回です。虫歯治療の経過観察もかねて、多めに通うことがおすすめです。口内環境が良くない可能性があり、また虫歯ができるかもしれません。セルフケアの方法もしっかり指導してもらいましょう。

②歯周病歴

  • 歯周病の人

目安は3か月に1回です。歯周ポケットが深くなると、歯磨きでは掃除しきれなくなります。歯周病を悪化させないためにも、歯周ポケットの掃除をこまめに行う必要があります。歯周ポケットの深さによっても通院頻度は変わってきます。歯周病は歯を失う病気ランキング1位なので、注意して、きちんと検診に通いましょう。

  • 歯周病ではない人

目安は半年に1回です。歯周病かどうかは歯周ポケットの深さで判断できます。厳しい基準で見た場合、日本人の8割は歯周病と言われるくらい、歯周病の人は多いです。まだ歯周病になっていない人は健康な歯茎を保てているので、その状態を維持していけるよう、半年に1回程度通院しましょう。

歯の健康は全身の健康!歯の健康を保つ方法は?

これまで歯科検診について書いてきましたが、歯の健康を守るためにできることは歯科検診に通うことだけなのでしょうか?
ここでは未来の歯を守るために個人でできることを紹介していきたいと思います。

①歯磨きなどのセルフケア

みなさん歯磨きは毎日していると思いますが、歯ブラシでこするだけでは汚れをとりきることはできません。歯と歯ぐきの間や歯と歯のあいだは歯間ブラシやフロスをすることが望ましいです。水流洗浄をおこなうとさらに効果的です。

また、年を重ねると舌に白いものが溜まってきますが、それは口臭の原因などになります。そこで、舌専用のブラシで舌磨きを行うのもよいでしょう。

さらに、フッ素入り歯磨き粉の使用は科学的に虫歯予防の効果があると証明されています。日本の9割の歯磨き粉にはフッ素が配合されているのですが、フッ素入り歯磨き粉の選び方と使い方にもポイントがあります。

フッ素入り歯磨き粉の選び方としては、次の2点があげられます。

[1]フッ素濃度を確かめる
フッ素濃度は1500ppmが限度とされているので、なるべく1500ppmに近い値で配合されているものの方が効果は高いといえるでしょう。ただし、6歳未満のお子様は1000ppm以上のフッ素濃度のものは控えるようにしてください。

[2]配合されているフッ素の種類をチェックする
フッ素には主に3種類あって、特徴がそれぞれ異なります。

  • フッ化ナトリウム・・・最もスタンダード。すばやく歯の表面を強くする
  • フッ化第一スズ・・・高い殺菌効果が期待でき、虫歯予防だけでなく歯周病予防も期待できる
  • モノフルオロリン酸ナトリウム・・・歯の深部まで浸透。効果がおだやかな分、毒性が低い

歯を守る基本的な効果は、どのフッ素も持っています。自分にあったフッ素が配合されているものを使ってみてください。
金属アレルギーの方はフッ化第一スズは使わないように気を付けてください。

家庭でのケアと歯科医院のプロのケアを組み合わせて健康な歯を守っていきましょう。

まとめ

今回の記事では、一人ひとりに合った歯科検診の頻度、歯のセルフケアの方法について紹介しました。以下に内容をまとめました。

歯科検診に通う頻度の基準は、
①年齢 ②虫歯歴 ③歯周病歴

歯の健康を守る方法は、
歯磨きなどのセルフケア

自分に合った方法で、無理せず、歯の健康を守っていきましょう!

記事執筆者
廣瀬哲人

株式会社ENロジカル代表
京都大学医学部医学研究科在学中に脳神経の形成機構の研究に従事。
在学中に起業し、事業売却を経験。
自身もwebのディレクターとして従事し、経営する会社ではいくつものwebメディアを運営している。
運営中のメディアはこちら

記事監修者
歯科医師/岡本孝博

高知県の僻地出身
高校卒業後、アパレル業界へ。デザイナーを経験後、歯科医師になる。
2008年より、京都大学医学部附属病院に勤務。基幹病院病棟医長/外来医長、地域基幹病院歯科口腔外科の所属長、地域医療連携における部門部長、難治性外来非常勤医師を務める。また、研修指導医取得はじめ数々の認定医資格を取得
2018年に㈱スクリエを創業

共同記事監修者
管理栄養士/西岡愛梨

管理栄養士として大手医療法人の病院や介護老人保健施設に勤務しながら、大阪市立大学大学院へ進学。当時の研究テーマで日本病態栄養学会の若手研究特別賞を受賞した過去をもつ。現在は後期博士課程に在籍しながら、京都大学や地域中核病院での研究調査に携わっている。

西岡愛梨